【イベントレポート】花のように人を撮る。GITZO100周年記念イベントで学ぶ鈴木光雄先生のポートレート術

こんにちは!ONE PHOTOチーフの深澤です!主に撮影の講師を担当しているだけでなく、ONE PHOTOで撮影するポートレートにメインフォトグラファーとして多く担当しております!


そんな、ポートレートを撮るのが好きな私としては絶対に見逃せない企画になりそうな予感をビンビン感じ、有無を言わさず、前のめり気味でこの度、Gitzo100周年イベントに参加させていただきました!イベント参加からは少し時間が経ってしまいましたが、一切メモを取っていなかったもののいまだにその興奮は冷めず、その勢いのままレポートという形で自分のためにも備忘録をお残しておければと思います。



新製品発表会

本イベントのプログラムは下記の通り、八芳園の白鳳館という建物の内装デザインが凄く素敵な会場ですべて行われました。


■ジッツオ 100周年 記念製品発表会
■新製品タッチ&トライ
■プレゼント抽選会
■鈴木光雄氏フォトセミナー:『フォトグラファーの流儀』


この日はマンフロット社のCEO等、本社から多数の役員が来日の上、直接ジッツオブランドについて歴史やその精神や今後の戦略まで幅広くまた深いお話を聞かせていただきました。驚いたのは通訳をしていた男性が、なんとマンフロット日本支社の代表だったこと。このイベントにかける並々ならぬ意欲と、社内の風通しのよさというか、働いていて非常に楽しそうな職場だろうな、とひしひしと感じさせられるとても良いイベントでした。



さらっと「マンフロット」と書いてしまいましたが、念のため補足しておくと、「ジッツオ」とはVitecグループのマンフロット社の取り扱いブランドの一つで、1992年にマンフロット社に買収されて以来、マンフロットグループのハイエンド三脚の部分を担っています。もちろん「マンフロット」というブランドもあるのは皆さんご存知の通りですが、実は同じグループだったというのは知らなかった人も多いのではないでしょうか?

ちなみに、もはや写真好きでなくても名前くらいは聞いたことがあるであろう、National Geographicもマンフロットグループが運営していたりします。



イベントの内容の詳細についてはデジカメWatchさんに詳しくまとまっておりますので、そちらを参照ください。


「ジッツオ100周年記念イベント」が開催。記念モデル並ぶ

http://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/eventreport/1083419.html



ソニーとの協業を発表

プログラムにも一切書かれておらず、当日、突然発表のあったサプライズは、まさかの「ソニーとの協業の発表」です。

こちらはジッツオというよりは本社のマンフロットとの協業に関する発表でしたが、ソニーαシリーズ用アイテムの製品およびマーケティングについて、世界的なレベルで協業していくとのこと。


具体的には、ソニーのαカメラに最適化した三脚、カメラプレート、ビデオヘッド、リモート撮影ツールの「Digital Director」などを協調して開発しつつ、マーケティングも一緒に行っていくようです。まず10月26日に米国ニューヨークで行われる展示会「PhotoPlus」で参考出品が行われ、2018年からマンフロットのα用製品をはじめ、ジッツオなどの新商品も順次発売予定とのこと。第一弾となる製品は、トラベル三脚befreeの特別バージョンが予定されているようなので、今から楽しみですね!



新製品タッチ&トライ

プログラムにある通り100周年を記念して新製品が発表されたわけですが、今回の注目はなんといっても、100周年記念三脚はもちろん、ジッツオブランドとしては初となるカメラバッグの発表ではないでしょうか。Vitecグループはジッツオ以外にもマンフロットや、最近ではカメラバッグで有名なロープロ社を買収するなど、総合的に市場に製品を投入している企業ですが、本製品はその叡智を集めた初めてのジッツオブランドのバッグとのことです。



そして新製品タッチ&トライでは、今回発表された、10月19日(木)発売予定の下記4点

(1)100 周年トラベラー三脚キット アニバーサリー・エディション
(2)Gitzo センチュリー トラベラー カメラバッグ
(3)Gitzo センチュリー トラベラー メッセンジャーバッグ
(4)Gitzo センチュリー コンパクトメッセンジャーバッグ

はもちろん、近日正式発表予定(つまり現時点では未発表!)である

(5)フルードジンバル雲台

も自由に触って楽しむことができました。



三脚上にセットされているカメラはもちろんソニー。会場ではα7 R IIとα9にそれぞれ「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」と「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」が付いていました。ジッツオといえば三脚の上に付ける雲台の形を最近、アルカスイス互換にしてくれていることもあり、私も自分のカメラにアルカスイス互換のL字プレートを付け、乗せてみました。




こちらは今回発表された100 周年トラベラー三脚キット アニバーサリー・エディションではなく、6月に、同じく100周年を記念して発表された、世界限定100台・38万円の「アルセーヌ・ジッツォーヴェン・エディション」です。

せっかくなら、ということで恐らくこの大きさ・クラスでは世界最高峰であろう三脚に自分のカメラを…これだけで何故か素敵な写真が撮れそうな気がしてきてしまうのが不思議です。



肝心の使い心地については、2点触れておきたいと思います。

■軽さは正義

「アニバーサリー・エディション」も「アルセーヌ・ジッツォーヴェン・エディション」もどちらも1型4段という軽さを売りにするカテゴリーに属する三脚ではありますが、三脚ボディ・脚の付け根にマグネシウム(通常はアルミ)を使用することで、「アニバーサリー・エディション」の重量は1.35kg と、通常よりも100gも軽くなっています。この100gは常に三脚を持ち歩くような人にとっては「実感できる軽さ」でありいざという時の撮影シーンに役に立つこと間違いなしでしょう。なお、「アルセーヌ・ジッツォーヴェン・エディション」だと素材がカーボンになり、さらに100gほど軽くなっているとのことです。



■自由雲台のクオリティが高い

このようなイベントに参加するからには私も言わずもがなジッツオの魅力に取りつかれたジッツオユーザーの1人のわけですが、今日の今日まで「ジッツオの自由雲台はいまいち」とばかり思っていました。が、しかし、実際に会場で触らせていただいた自由雲台の操作感は非常にクオリティが高く、三脚にマッチするデザイン的な格好良さといい、とても良い商品になっていてびっくりしました。

聞くところによると、最近自由雲台がリニューアルされたようですが、その際に一気にクオリティが上がったとのことです。後半に講師として登場する鈴木先生も、以前は3way雲台を愛用していたものの、リニューアル後のジッツオの自由雲台の操作感の良さに惚れ、今では自由雲台を好んで使われているとのことです。



プレゼント抽選会

いよいよお待ちかねのプレゼント抽選会!

実はここが一番楽しみ、というかむしろこのために来た、と言っても過言ではない方ももしかしたらいるのではないでしょうか。

しかも今回のプレゼントは先に発表されたカメラバッグ3種類に加え、ジッツオオリジナルキャップと、なんと、2型のカーボン一脚が2本!も用意されるという圧倒的な太っ腹っぷりに興奮が否応なしに高まります!!


ちなみに会場には約50名弱の方々が集まっており、そのうちONE PHOTOメンバーが私も含めて3人。プレゼント数は10ほどありましたので、確率的には約50.4%で誰かしらが何かをゲットするという計算に!これは貰いましたね、とホクホク顔で抽選結果を待つONE PHOTOメンバー(含む私、以下同様)。



まずはキャップから。

全員外れ。

と、これは外れが当たりだよね、などと冗談を飛ばしながら余裕の表情を見せるONE PHOTOメンバー。

次に3種類のカメラバッグ。



こちらも全員外れ。1番違いのニアミスの罠に全員が陥るも、ヒットならず、です。

いやいや、本命は一脚だよね、などともはや冗談なのか自虐なのか良く分からないテンションになりながら祈りに込める力が強まるONE PHOTOメンバー。

!!!



と思ったら、またも番号が1番違いで当選を逃した、チーフフォトグラファーの村山さん。村山さんの番号は46番だったのですが、44,45,47と辺りが出ている中の敗戦は本当に悔やまれるところです…


そんなわけで、会場内で一番ワーワーうるさかったのは私たちです。この場を借りてお詫び申し上げます。。




鈴木光雄氏フォトセミナー:「フォトグラファーの流儀」

気を取り直して、また、大変前置きが長くなってしまいましたが、本日のブログの本題となります。

普段から大変お世話になっており、また時には指導もいただいている先生だけに、その言葉一言一言、その動き、気の配り方等、一つでも多くのことを学べればと思い集中して聞いていたためメモは取っておらず記憶だけで書いているためもしかしたら細部で異なる表現等してしまうかもしれませんがご了承ください。



前半:自己紹介とポートフォリオ紹介

前半は鈴木先生の自己紹介を含めてこれまでの写真家としての歩みや、撮られてきた写真の紹介や解説です。




鈴木先生といえば「花」「ヌード」でよく知られています。そんな先生のエピソードの中で印象深かったのは「クライアントから『先生の撮る花のようにこの人を撮ってください』と言われた時は嬉しかった」という逸話です。


日本ではなかなかこのようなオファーはないようですが、海外だとこのようなオファーも比較的多くあり、写真家としては非常に光栄な瞬間とのこと。



たしかにクライアントありきの撮影の場合、どうしても「自分の我流」だけを押し通すことは当然できません。クライアントのニーズを汲み取った写真(商品)を提供することが当たり前で、その上で何を+α出来るかが、クライアントがそのカメラマンに撮影を依頼する理由になってくるはずです。それは例えば値段だったり、現場のマネジメント力だったり、その人の写真の作風だったり、はたまたそのカメラマンの人柄だったり、様々な要素があると思いますが、いずれにしても尖った+αがない限り単なる値段競争となってしまい、結果としてそれはカメラマンにとって(もしかしたらクライアントにとっても)ハッピーになりづらい案件になってしまいます。





閑話休題、セミナーに戻りましょう。その「花のように人を撮る」の際にサンプル写真として紹介してくれていたポートフォリオです。

これがまさに先生の言う「花のように人を撮る」という1つの究極の形なのかもしれません。とにかく言えるのは「造形」と「陰影」が非常に美しいこと。写真を始める前はレンブラントやフェルメールに感銘を受けていたということもあるのかもしれませんが、本当に美しい表現に思わず息をのんでしまいます。

また、スナップ写真についてもポートフォリオの解説をしながら紹介してくれました。そこで印象深かったのはディズニーランドで撮られた写真で、ディズニーには良く行く私でさえ全く撮ったことのなかった、いや、撮ろうとすら思ったことのなかった場所と瞬間で撮られており、一瞬、どこで撮られた写真なのか気付かなかったほどです。また、当たり前かもしれませんが、スナップであっても構図についてはきちんと考えて精緻に撮ることを心掛けているということも印象的でした。私もスナップはどちらかというと苦手なジャンルの1つなので、これからはもうすこし構図についても熟慮しながら街中を歩いてみたいと思っています。




後半:実践!スタジオポートレート撮影

いよいよジッツオ100周年記念イベントのハイライト、実践撮影編です。

今回はなんと、舞台をスタジオに見立てた上で、スタジオの設営からモデルさんの撮影までを、まさにプロが普段回しているのとまったく同じ手順、方法、機材で回して下さるという、こんな豪華な内容でいいの!?というくらいの豪華な内容です。






「どうしたらそんな写真撮れるようになりますか?」という質問はよく聞きますし、それに関連して「やっぱり良いカメラじゃないと撮れませんよね…」「私は技術がないので…」と続くことも多いように思います。その度に私は「そうではない!」と今だからこそ胸を張って言えるわけですが、まさにそれを実感する実践編で、ここでは書ききれないくらいの細かいノウハウがびっちりと詰まっていました。



たとえばスタジオ設営ひとつとっても、

・背景の布は皺なくピシッと張られているか
・ライトやカメラ、パソコンと、機材が多くなる=配線もごちゃごちゃしがちだが、モデルさんやスタッフの動線がきちっと確保できているか



など、意識するとしないでは確実に出来上がりのクオリティが変わってくる部分ではありますが、一流のプロと二流のプロとの絶対的な違いはこういうところにあるんだろうな…と感じざるを得ない部分もあります。

またライティングについても、顔の部分で露出計を取るのは基本ですが、さらに先生の場合は胸のあたりと膝のあたりでも露出を図り、だいたい0.5段ずつくらい光が落ちていくようなセッティングにするとのこと。そうすることで顔が一番明るく、下に行くにつれて自然に光が落ちていくので立体感が出るとのこと。

この辺りはすぐにでも真似できる技術ですね!

とにかく現場やモデルさんに対する気遣いが半端なく、非常に細かいところにまで神経を行き渡らせ、細かくその場で、(ここが多分重要ですが)自然に微修正していくのが流石だな…と思いました。






今回、ジッツオ100周年記念ということで、それにふさわしいよう、モデル、服装、ヘアスタイル、背景、ライティング等々を全て決定されたとのこと。この辺りの企画力というかコンセプトを創り上げていくコーディネート力も一流のフォトグラファーには欠かせない要素のようです。

カラーチャートを使ってホワイトバランスを合わせに行くことは通常のフローですが、きちんとホワイトバランスを取った後に、若干、色温度を低めに(青めに)しつつマゼンタを弱めにし、さらに周辺減光を少し加えることでまさに「ジッツオ100周年記念イベント」らしい重厚感ある印象に仕上がり、これには私もびっくりしました。

「え、こんなに簡単なことで!?」ということも衝撃でしたが、何より「抽象的なイメージを具体的なアウトプットに落とし込む」ことに費やす事前準備の大切さに改めて気づかされます。




モデルさんへの指示出しについてはカメラマンによってかなり差異のある部分だとは思いますが、先生の場合は基本的にはモデルさんに自由に動いてもらいつつ、良い部分についてはもっと深堀をしていく、という感じでやっているように見えました。そして実は重要なのはここから先で、その深堀の仕方にやはり超一流の流儀を感じさせられます。というのも先にも書きましたが、とにかく気配りや気づきが半端ではないんです。そんな細かい所まで!と一瞬思ってしまいそうになるくらいの細かい部分ですが、そこを改善すると、確かに写真が良くなっています。神は細部に宿る、ではありませんが、その意識なしに高いクオリティを出し続けていくことができないのもまた間違いないはずです。



私自身、普段の撮影ではどうしても撮影すること自体、もしくはモデルさん自体に意識を向けすぎてしまう傾向がありますので、これまで以上に周りを見ながら撮影していきたいと思います。







最後に、今回の実践編の撮影では、プロの現場の再現というコンセプトの下、スタイリストやヘア&メイクアップに加えてアシスタントまでついていました。
下記が当日の撮影スタッフ一覧となります。



Photographer: Mitsuo Suzuki
model: Saho Nakata (SOS Model Agency)
Stylist: Mai Kikuchi (Earth Work)
Hair & Makeup: Yasuyuki Maekawa
Assistant photographer: Kousaku Hoshino



最後に

少し長くなってしまいましたが、いかがでしたか。当日の雰囲気などが少しでも伝えることが出来れば幸いです。


私も趣味では花の写真を良く撮っているのですが、「花のように人を撮る」という発想はあまり持ったことがなく、非常に新鮮な響きで今も頭の中にその言葉が響いています。これから秋になり、バラや紅葉、イルミネーションと写真に撮っては春のように忙しいシーズンとなってきます。人を撮る機会も増えてくるかと思いますので、今回のセミナーで学んだことを心に刻みながら、一つひとつ、息を吐くように自然にできるようになれるよう、意識を重ねていきたいと思います。



本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
なお、本日の写真は最初の1枚を除き、全てONE PHOTOのチーフフォトグラファーである村山さんの写真を活用させていただいております。ありがとうございます。

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